ブライアントパーク ホテル

ブライアントパークホテルは、2020年の夏にコロナウイルスによる旅行者の渡航規制によりホテルをオフィスに改装したため、ホテルを閉業致しました。

 ブライアントパークホテル(Bryant Park Hotel)は、ニューヨークで数少ないブライアントパークを一望できる客室を擁するホテルです。マンハッタン・ミッドタウン地区中心部に位置するこのホテルからは、目の前に広がる公園(ブライアント・パーク)は勿論のこと、公園に隣接するニューヨーク公共図書館やタイムズスクエアの電光掲示板が光り輝く姿をご覧いただけます。近年、アンダーズ(Andaz)やマリオット系列のエディション(Edition)といったホテルが目指す「住むように泊まる」というコンセプトが流行しているホテル業界で、このホテルもまた「自宅のようにくつろげる空間」を提供してくれます。

 先ず特筆すべきはこのホテルの建築様式とそれを担った人物です。ブライアントパークホテルの前身は、1924年建築の「アメリカンスタンダード・ビル」に端を発します。建設完了当時は、暖房器具の主要部品を製造する大手メーカー:アメリカン・ラジエーター・カンパニー(現アメリカン・スタンダード・ブランズ社)の本社ビルとして使用されておりました。設計を担った建築家レイモンド・フッド氏は、より近代的な超高層ビルを実現すべく当時のニューヨークで主流とされていたボザール様式ではなく、ボザール様式の元となるゴシック様式と、同じくゴシックの新派生として生み出されたばかりのアールデコを融合させた外観を作り上げました。結果、漆黒の外壁に豪華なゴールドの装飾が施された荘厳な建物が見る者全てを驚かせ、かつてない斬新なデザインとして大きな話題を呼んだのは言うまでもありません。そんな話題から60年以上経った頃、バブル絶頂期の日本企業がこのビルを買収するも10年後に売却し、ホテルとして再生される事が決まります。ミスター・ミニマリストの異名を持つイギリスの建築家デイヴィッド・チッパーフィールド(David Chipperfield)氏が「無駄がないシンプルの極み」というコンセプトを一貫して手掛けた結果、内装に使用される材料はすべて必要最低限の装飾だけが施され、非常にシンプル、かつ高級なデザインに仕上げられました。大の親日家としても知られるチッパーフィールドは、バブル期の日本国内でも複数の建築デザインを手掛けており(京都のトヨタTAKビル、兵庫の猪名川霊園・礼拝堂など)、その功績は、高松宮殿下記念世界文化賞を受賞するに至ります。

 ブライアントパークホテルは、ミッドタウン中心部となる40丁目沿い、5番街と6番街の間に位置します。目の前の公園(ブライアント・パーク)では、夏に屋外の特設ステージで映画やブロードウェイミュージカル公演が行われ、冬はクリスマス・マーケットとマンハッタンで一番大きなアイス・スケートリンクが設置されます。アクセスも非常に良好で、ホテルの目の前にある地下鉄の駅はB、D、F、M、7の5つの路線とつながっており、1ブロック(徒歩5分)でマンハッタン一の歓楽街であるタイムズスクエアに行く事ができます。また、同じくホテル徒歩圏内に日系スーパーマーケットや日本食レストランも多数あり、ご滞在中に日本の味が恋しくなった際に嬉しい環境にあります。さらに、ニューヨーク最大の鉄道駅(グランドセントラル)と最大のバスターミナル(ポートオーソリティ)も、それぞれ徒歩15分ほどで行ける事から、ボストンやワシントンなどマンハッタン郊外への小旅行にも適した場所となっております。

 ブライアントパークホテルのお部屋は、白を基調とした自然と都会が融合するナチュラルモダンな雰囲気となっており、大都会の喧騒を忘れさせてくれる落ち着いた客室となっています。ベッドには、エジプト綿のリネン、カシミヤのブランケット、ガチョウの羽毛布団が用意されています。一般の客室の広さは28平米~35平米ほどで、1~2名様利用であれば十分な広さとなっておりす。バスルームは木目調の大理石の床に、深めのバスタブ、英国の高級ブランド「モルトンブラウン(Molton Brown)」のバスアメニティ、バスローブとスリッパが用意されています。

 ホテル内にあるンレストラン 「コイ(Koi)」 は、アメリカナイズされたいわゆるヒュージョン日本料理をお楽しみいただけます。ロサンゼルスで始まったこのレストランは、日本料理をカリフォルニアスタイルと融合させた創作料理が特徴となります。Koiは、全米3ヶ所(ロサンゼルス、ラスベガス、ニューヨーク)と海外2ヶ所(タイとドバイ)で展開されており、特にニューヨーク店はお洒落な高級ラウンジ仕様となっていることから、地元ニューヨーカーにも大変評判の良いレストランです。また、同じくホテル内にあるバー&ラウンジ「セロンバー&ラウンジ(Célon Bar & Lounge)」は、カクテルバーラウンジとナイトクラブという2つの顔を持っており、ホテルに滞在されるお客様は平日午後5~6時のハッピアワーにて、無料でビール、ワイン、カクテルをお楽しみいただけます。午後10時からはこの場所がナイトクラブとなり、旅行者だけではなく仕事終わりのニューヨーカーも多く集まり、DJの流す音楽に身体を揺らせて大人の夜の時間を楽しみます。

個人的な意見

 ブライアントパークホテルは、こだわりの強い事で有名な建築家デイヴィッド・チッパーフィールド氏によるものですから、お部屋の内装は好みが分かれるところでしょう。内装にこだわられる方やデザイン関係のお仕事をされている方には心打つものがあるかと思われますが、一般の方が見られる際、かならずしも評判が良いという事でもないようです。しかしながら、自分の家にいるような居心地の良さを望む方には、このシンプルさの極みと言わんばかりの客室をお楽しみいただける事と思います。客層につきましては、お子様連れのご家族はほとんど見られません。実際にお子様もお泊りになられることもありますが、客室ではベビーベッドの利用が不可であったり、深夜まで営業しているナイトクラブが併設されている事からして、大人向けのホテルという印象です。

 ブライアントパーク周辺は、タイムズスクエア周辺と比べてナイトスポットやバーラウンジがあまりございません。また、三菱商事、丸紅、三井物産、三井住友銀行といった日本企業が多く入居しているビジネス街となりますので、ランチタイムはサラリーマンで賑わうレストランがある反面、夜は少し寂しいエリアとなります。然しながら、その寂しい環境にあるブライアント・パーク・ホテルや同じく4つ星ホテルであるアンダーズホテルライブラリーホテルなどは、落ち着いた大人の雰囲気漂うホテルとなっており、日本人顔負けの迅速かつ丁寧なおもてなしを体感することができます。スタッフの質の悪さが目立つニューヨークのホテルにおいて、ソフトで安心できるサービスはホテル選びにお重宝されることでしょう。ちなみに、低層階の南向きの客室は、景色があまり良くありませんのでご留意ください。窓からは向かい側のレンガ壁しか見れませんので、せっかくこちらのホテルにご宿泊されるのであれば、ブライアントパークを一望できる高層階のお部屋をご選択されることをお勧めします。

部屋数:128室
スタイル:シンプル、住むように泊まる、落ち着いた雰囲気
雰囲気:30代~50代 / ツーリスト / ご出張 / 立地重視

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